■はじめに
E-moteは、キャラクターイラストを簡単に動かす為のツールです。
本マニュアルでは、E-mote4.0エディタでキャラクターモーションを作成するための具体的な手順を、「初心者練習編」としてパーツごとに例を挙げて説明します。
本マニュアルは「E-mote4.0キャラクター原画作成の手順」および「E-mote4.0 モーション作成の手順(初心者導入編)」を読んで、ある程度E-moteの操作について知っている方が対象です。
未読の方は、先ずは上記ドキュメントを精読した上で、本ドキュメントを参照するようにして下さい。
■物理挙動スケールの設定
【物理挙動スケールとは】
E-mote4.0では、パーツの揺れなどの物理挙動をプログラム側で自動的に行います。
その関係上、距離や重さなどの単位の設定を必ず行う必要があります。
これらの設定を物理挙動スケールといい、設定項目を物理プロファイルと言います。
物理プロファイルの設定する方法は、
初回PSDインポート時に設定する
[全般]タブ>[物理プロファイル]で設定する
のどちらかで行います。
[Note]物理プロファイルの設定は、PSDインポート前には行わないようにして下さい。

※物理プロファイル設定画面
物理プロファイルには以下の項目があります。
ビルトインマーカー
青い矢印のついた横線の事をビルトインマーカーと呼びます。
青線は「頭頂」「足下」「目」「口」「胸」の5本があり、D&Dで上下に動かす事ができます。

「頭頂」「足下」はそれぞれキャラの頭部の一番上と足元の一番下に、「目」「口」「胸」はそれぞれのパーツの中央の高さに設定します。
キャラバウンズ
キャラバウンズとは、キャラを描画するのに必要十分な領域を示す、黄緑点線の矩形の領域です。
領域範囲の設定は、緑色の点線部分をD&Dで上下左右に動かして行います。
デフォルトである程度の余裕を持って設定されていますが、例えばキャラクターが腕を振り回すといった場合は、動いた腕が描画領域からはみ出さないように予め大きめに設定する必要があります。
Pixel Per Meter
上記マーカー群の値はピクセル単位の数値で表されますが、それらをリアルスケールと関連付けるパラメータがPixel Per Meter、すなわちPPMです。
PPMは1メーターの間に何ピクセル存在するかで定義されます。
この値はキャラのリアルスケールでのサイズを決定し、物理モデルの挙動にも影響を与えます。
論理身長
「論理身長」は「PPM」の別表現です。
キャラプロファイル「頭頂」と「足下」はプロファイル群の中でも特別な値で、この二点間の距離はキャラの「身長」としてリアルスケールのメートル単位で扱われます。

※PPMと論理身長はインスペクタで設定します。
※「論理身長」と「PPM」は連動しており、片方を変更するともう片方の数値も変動します。
※「キャラバウンズの頭頂~足下の距離」を変更すると「論理身長」も自動的に変動します。
複数のキャラクターで同じPPMの値にした場合、物理挙動は統一されます。
ゲームなどで複数キャラを同時に表示する際などは、まず基準となるキャラクターを一体作成し、その後作成するキャラクターはPPMの値を統一する事をお勧めします。
以上、概念的な話はここまでとして、これ以降はサンプルを元に具体的な例を挙げつつ解説を行っていきます。
■表情設定編・目について
E-moteを構成するパーツ群の中でも、目は特に独特な構造をしています。
難しい箇所ですが目立つ箇所なのでしっかりと調整していきましょう。
本項では、表情のパーツ”目L”をサンプルに解説します。
【瞳(黒目部分)の調整】
瞳の動きを調整します。実際に調整するキーフレームは
・パラメータ”瞳・左右”の”左”と”右”
・パラメータ”瞳・上下”の”上”と”下”
です。
調整の際の注意点としては、平面的にメッシュを左右上下にスライドさせるのではなく、目玉という球体の上を滑るような3D的な動きを意識して動かして下さい。

わずかな差ですが、目は特に注目を集める箇所なので動きや形のクオリティを意識して調整を行って下さい。
[Note]とはいえ、元々テンプレートで設定されているメッシュ変形でも十分な動きをしています。
違和感を感じなければ、無理に調整せずに次に進んで下さい。
【マブタの調整】
マブタの動きを調整します。ここで調整するパラメータは”目L・表情”です。
ここでは調整するキーフレームが多いので、キーの一つ一つを解説していきます。
[”通常”と”半閉じ”の間の ”ー” ]

絵としては”通常”と同じですが、これを”半閉じ”の絵に重なるように変形していきます。
一度”半閉じ”の状態をオニオンスキンで登録して、それを半透明で表示しながらメッシュ変形を調整していくと効率的です。

[”半閉じ”と”閉じ”の間の ”ー” ]

今度は絵としては”半閉じ”と同じですが、これを”閉じ”の絵に重なるように変形していきます。
やり方も同じです。

[Tips] マブタ調整のコツは、下まぶたのラインをあまり動かさないようにする事です。
[”閉じ”と”笑閉じ”の間の2つの ”ー” ]

ここがマブタ調整の中では一番難易度が高い箇所です。
まずここでの目標は2点あり、
・二つの”ー”の形を同一に調整する
・同一にするだけではなく、”閉じ”と”笑閉じ”の中間の形になるように調整する
この2点を満たすように調整を行います。

2つの”ー”どちらも、お互いの中間点になるような形に調整を行って下さい。
[ ”驚き” ]
”驚き”では、目を見開いたような形にマブタを上下にメッシュを動かします。
マブタの形の調整が終わりましたら、今度は瞳(黒目)の微調整を行います。
マブタの動きに沿って瞳も動かすとより自然な目の動きになります。
瞳はマブタよりは調整するキーフレームが少ないですが、より注目度が高いパーツですので、重要な調整となります。
瞳では主に以下の3点のキーフレームを調整して下さい。
[ ”驚き” ]
”驚き”では、瞳は少し縮小するような動きにして下さい。
この際、瞳の中心となる位置を見極めて、通常から驚きへ縮小した際に、瞳の中心部分がズレないように気を付けて下さい。
[ ”半閉じ” ]
閉じようとする上マブタに追従するようなイメージで少し下に動かして下さい。
マブタが半閉じ(半目)の時の瞳の位置によって、ジト目になったりうつむき目になったりと印象が変わります。どのように半目を使うかを想定して調整をしてください。
[ ”ー” ]
”ー”では、目を閉じる寸前の瞳の位置を調整します。
考え方は半閉じの時と同じで、狭まるマブタの形に添って、瞳位置を下に、縦方向を少し縮小する感じで調整します。

※きりたんの場合は、デフォルトでも違和感がありませんので、調整せずにこのまま進めます。
【目R側の調整】
正面絵の場合限定ですが、目Lで調整したメッシュを目Rに左右反転コピペする事で、メッシュ調整の手間を省く事ができます。
先ずは以下の手順で操作して下さい。
目Lの”パーツ詳細”の”目L・表情”で右クリックメニューを出す
”メッシュ形状をクリップボードへエクスポートする”を選択

次に目Rの”パーツ詳細”の”目R・表情”で右クリックメニューを出す
”メッシュ形状を左右反転してクリップボードからインポートする”を選択

以上で、”目L・表情”の全てのキーフレームのメッシュ形状が、左右対称して”目R・表情”にコピペされました。
同様の操作を”瞳位置調整”でも行って下さい。
操作が終わったら、ライブプレビューを用いて、パラメータのスライダーをゆっくり動かして動きを確認します。
動作確認が終わりましたら、以上で目の調整は終了です。
■表情設定編・クチについて
目の次に難易度が高いのが、クチの開閉のメッシュ調整です。
クチの開閉のやり方として、
各表情共通のクチパクの動きにする場合
各表情個別のクチパクの動きを調整する場合
と、2つのやり方があります。
共通の方が手間は省けますが、より表現力が高いのはもちろん後者の方です。
前者は超初心者向けと認識して下さい。
本項では、各表情個別のクチパク調整の方法で解説していきます。
【一括クチパクの初期化】
以下の手順で、先ずは一括クチパクを制御するメッシュを初期化します。
[パーツ編集]ツリーを辿って、”クチ”を選択します。
[パーツ詳細]から”クチパク・一括”を選択します。
キーフレーム”中間点1”を選択します。

変形済のメッシュの上で右クリックメニューを出して「クリア」を選択します。

以上の操作で、一括クチパクのメッシュは初期化されました。
【クチ個別調整】
それでは、各クチそれぞれを個別に調整していきます。
今回はサンプルとして”クチ・標準”の調整を行いますので、その手順を説明します。
[パーツ編集]ツリーを辿って、”クチ個別調整”を選択します。
個別のクチが並んでいる中で”クチ・標準”を選択します。
[パーツ詳細]から”メッシュ(クチパク)”を選択します。
初期値”閉じ”でオニオンスキンでキャプチャします(ショートカット”ctrl+1”)
キャプチャした画像を表示した状態(出なければ、キーボード左上側の”1”を押す)で、”中間点1”のメッシュを”閉じ”に近い形に変形させます。
[Caution!]
クチの開閉メッシュの調整で注意点があります。

上図は、テンプレート画像のクチ・標準を調整した例です。
大抵の場合、閉じクチと開きクチの絵の両端がズレていない場合が多いので、素直に開きクチの形を閉じクチに近づけるような調整をしてください。

逆に注意が必要なのは、今回のきりたんのように、おちょぼクチと笑いクチとでクチの両端が大きく違う場合です。
こういった場合、”中間点1”の横サイズをある程度横方向に広げておかないと、”上下の開閉”ではなく”クチの拡縮”のような動きになってしまいます。
あくまでクチが開閉する動きになるように、拡縮状態にならないように気を付けて調整して下さい。
- ”中間点1”のメッシュの上で右クリックメニューを出してからコピーします。
- ”中間点2”にコピーしたメッシュをペーストします。
- ”中間点2”のメッシュの上で右クリックメニューを出してから”微調整する”>”少し抑制する”(ショートカット”テンキー(Numキー)の1”)を2回行う。

- 最後に、編集画面上部のスライダーを左右に動かしてクチパクの動作に違和感がないかを確認する。
以上の操作で、”クチ・標準”のメッシュ編集は完了しました。
同じ工程を、他の”クチ・怒”、”クチ・哀”、”クチ・笑”、”クチ・特殊1”まで繰り返し行います。
■表情設定編・眉について
【眉の構造】
眉は各表情の遷移の流れが複雑ですので、まず図で表します。

表情同士の推移構造は上図のようになっており、構造的に4つの「中間点(ー)」が近い形状になっているほど、綺麗に形状変化します。
とはいえ、初見ではなんの事やら?と戸惑うユーザーも多いと思いますので、実際に調整する為の手順をなぞって理解度を上げていきましょう。
【全ての眉の中間点を探る】
眉の調整を始める前に、眉の”通常”、”怒り”、”哀しみ”、”笑い”それぞれをオニオンスキンでキャプチャして下さい。(ショートカット”Ctrl+1~4”でそれぞれキャプチャする事ができます)
そしてそれぞれを同時に表示させて中間点を探っていきます。

上の左図が4つの眉を重ねた場合です(見えにくいので前髪消してエフェクトもかけてます)
4本の黒線のおおよそ中間を探ると、上の右図の赤線のような形になります。
これを以後、中間点のイメージとしていきます。
【眉ごとに中間点と同じ形に調整する】
眉の中間点の形がイメージできたら、先ずは”通常”の直ぐ横の” ー ”のメッシュを中間点の形に変形させます。

次に、調整した” ー ”のオニオンスキンをキャプチャします。(ショートカット”Ctrl+5”)
以降は、キャプチャしたオニオンスキンを表示しながら、他の” ー ”のメッシュ変形を同じ形に重なるように変形させていきます。
ただし”笑い”の右側にある” ー ”のメッシュ(値は”49”)だけは、”通常”と同じ形にして下さい。

※上図青色枠の”ー”だけ例外で、”通常”と同じ形に調整して下さい
以上で、表情の基本的なパーツの調整は終了です。
ただし、表情には他にも”涙”や”鼻”、”頬”などのパーツがありますので、ツールの習熟が進んだら調整にチャレンジしてみて下さい。
[Tips] 不要になったオニオンスキンは以下の手順で削除できます。
- ”全般”タブから”オニオンスキン”を選択
- インスペクタの一番上にあるリストから削除したいオニオンスキンを選択
- インスペクタの一番下にある”削除する”ボタンで削除
■頭部の調整について
【はじめに】
今回のサンプルで頭部を構成するパーツ群は以下の通りです。
- 表情(目・眉・クチ・鼻など)
- 輪郭
- 耳L
- 耳R
- 前髪
- 後髪
- 横髪L
- 横髪R
- 頭部差分A(髪の飾り
- 頭部差分B(後頭部
それではこれらを対象に頭部の動きを調整していく為の基本的な手順を説明していきます。
【基本的な流れ】
まずは作業の手順、流れを説明します。
”輪郭”のパーツ詳細から”頭向き・左右”を選びます。
キーフレーム”左”を選択します。
輪郭の形を整えます。
上記頭部パーツ群全てにおいて”頭向き・左右”の”左”のメッシュを順次整えます。
※この際、パーツの上で”Ctrl+右クリック”操作を行う事で、編集したいパーツに直接跳ぶ事ができます。
”左”が納得いく形になったら、今度は頭部パーツ群全ての”頭向き・左右”の”右”のメッシュの形を整えます。※この際、左のメッシュをコピペして左右反転すると効率的に編集ができます。
1に戻って、今度は”頭向き・上下”を選んでキーフレーム”上”で全ての頭部パーツの調整を行います。
”上”の調整が終わったら、同様に”下”も調整を行います。
これらの流れを踏まえた上で、実際の調整作業を解説していきます。
【頭向き・左右の調整】
先ずは頭部の動きの基本となる”輪郭”の調整から始めます。
”輪郭”の”頭向き・左右”を選びます。さらにキーフレーム”左”を押すと以下の図のように表示されます。
違和感のあるパーツを選んで、ひたすら”頭向き・左右”の”左”のメッシュを修正していきます。

全ての”左”メッシュの修正が終わったら、今度は全ての頭部パーツの”右”を修正します。
この際、”左”のメッシュをコピーして”右”のメッシュに貼付してからメッシュ左右反転(Ctrl+I)を行うと、手間が省けて便利です。
【頭向き・上下の調整】
”頭向き・左右”の時と同じように、”頭向き・上下”を選んで、”上”および”下”のキーを選んで調整していきます。
ただし上下では左右反転のような手段が使えませんので、それぞれで調整をして下さい。

[Note] 上向きの調整については、テンプレートの動きと相性が良かったのか”前髪”と”頭部差分B(後頭部)”の調整がメインで、他は微調整で済みました。こういう事もあります。
【頭傾き調整】
”頭傾き”の調整については、基本的には調整する要素が少ないです。以下その理由を説明します。
E-mote3.9までであれば、”頭傾き”に合わせて、髪の毛などを変形させて下に垂れ下がるようなメッシュ調整が必要でした。

しかし、E-mote4.0では髪の毛の垂れ下がる動きは”紐モデル”という物理挙動によって勝手に動くようになりました。
その為、エディタとライブプレビューでは見た目が違ってしまいますが、この場合はライブプレビューの方が正しいです。
【紐モデルの設定】
ここからは4.0の目玉機能のひとつ、ベルベット物理挙動の調整を行います。
今回調整を行うのは
- 前髪
- 後髪
- 横髪L
- 横髪R
これらのパーツの”紐モデル”です。
1.ライブプレビューで動かす
エディタ本体だけでは、物理挙動の動きを見ることができません。
まずはライブプレビューで確認してみましょう。
・[モーション]の”メイン”から、好きなモーションを選んで動かす
・激しい動きや予想外の動きを試したい場合は、CtrlキーやShiftキーを押しながらライブプレビュー上のキャラの上でマウスポインタをD&Dで上下左右に動かす。
この2点のやり方で動作確認をして下さい。

これを見ると、
- 前髪が揺れすぎて輪郭の一部が露出している
- 後髪が傾いた時、揺れの起点が上過ぎて輪郭にめり込んでしまっている
といった部分に問題があるように見えます。
このように初期状態では物理挙動の設定が不十分な為、これを納得のいく揺れ方になるように調整していきます。
それでは、先ずは”前髪”をサンプルとして調整方法を解説します。
2.ボーンの数を決めて、形を設定する
”前髪”の”パーツ詳細”から”紐モデル”を選びます。
すると画面中央に青い節のついた棒が表示されます。
この青い棒をボーンと呼びます。

前髪パーツ中央の縦の青い線がボーンです
それでは、最初にボーンを何本置くかを決めます。
本数に特にルールはありませんが、おおよその基準としては
・縦に細いパーツ > 1本
・正方形程度の横幅がある > 2本
・横幅が大きい場合 > 3本
を意識して決めると良いです。
ボーンの数の設定は、インスペクタの[紐モデルシェイプ]>”ボーンの数”で設定します。

ボーンの数が決まったら、画像の形に合わせて位置を決めていきます。(今回は3本にします)
ボーンの両端の二重丸になっている点をD&Dで動かす事で、ボーンの形を設定する事ができます。

3.不動点の設定
ボーンの設定の次は”不動点”の設定を行います。
不動点とは、その名の通り物理挙動の際のメッシュにピン留めして動かないようにする点です。
髪の毛などは、揺れの起点を意識して房の根本に配置すると良いでしょう。
基本的に不動点は0~2個設定します。
3個目も設定できますが、揺れの動きがピーキーになりやすい為、最終手段として下さい。

インスペクタの”不動点”で数を指定してから、不動点(赤丸)をピン留めしたい位置に配置して下さい。
4.抑制領域の設定
次は”抑制領域”の設定を行います。

メッシュの外枠4辺をD&Dすると、緑色の斜線領域が現れます。これを”抑制領域”といいます。
抑制領域では、メッシュ変形が抑制されます。
紐の揺れによるメッシュ変形は完全に止めませんが、揺れの動きを小さくできます。
5.気になる挙動のパラメーターを変えてみる
ボーンと不動点の設定が終わったら、一旦ライブプレビューに戻って動かしてみましょう。

・・・まだ少し傾いた時のオデコの露出が多いように見えます。
そこで、ボーンの設定を下図のように変更しました。

これでもう一度ライブプレビューで確認してみましょう。

これで前髪が過剰に傾く事はなくなりました。
それでは前髪の調整はここで終わりにして、他のパーツの設定に移ります。
今回はボーンをメインに調整を行いましたが、ボーンだけでは動きの違和感が取れない場合は、紐モデルの各種パラメータの調整を行います。
各パラメータについては別途参照して頂くとして、本項ではパラメータに関するいくつかの事例と対応策を挙げる事で初歩的な理解度を上げて行きます。
Q.揺れの動きが 大きい/少ない のをどうにかしたい
A.”ボーン横感度”と”ボーン縦感度”の値を変更します。
揺れの動きを抑えたいのであれば、値を小さくします。
揺れの動きをもっと大きくしたいのであれば、値を大きくします。
Q.もっとグネグネと柔らかい揺れにしたい
A.”1mあたりコントロールポイント数”の数値を増やして、ボーンの節を増やすか、
”ラフネス”を増やして、揺れ方を変えてみて下さい。
どちらが正解かは、実際に試して気に入った方を(もしくは両方)を採用して下さい。
Q.頭や胴体を傾けた時に、元の形を保持したい
A.”ストレートネス”の値を増やして下さい。
Q.揺れが ゆっくり/早く 収束するようにしたい
A.”末端減衰係数”の値を変更します。
ゆっくりと揺れが収まるようにしたいのであれば、値を大きくします。
早く揺れが収まるようにしたいのであれば、値を小さくします。
物理設定のパラメータの数は膨大で、様々な要素が絡み合う為ある程度ツールに習熟してから手を付けるのが吉です。
もし調整に挑む際は、いきなり複数のパラメータを操作するのではなく、一つのパラメータに絞って、値も少しずつ動かすようにして調整していってください。
■身体と下半身の調整について
【はじめに】
今回のサンプルで胴体と下半身を構成するパーツ群は以下の通りです。
- 胴体
- スカート
- 腕L
- 腕R
- 胴体差分A(垂れ下がっている帯)
- 胴体差分B(背負いカバンと腰帯の一部)
- 下半身
それではこれらを対象に身体と下半身の動きを調整していく為の基本的な手順を説明していきます。
【基本的な流れ】
作業の手順、流れは、基本的に頭部の時と変わりません。違う点といえば、”頭向き”の調整が、”身体向き”に変わっただけです。
調整するパラメータは”身体向き・左右”、”身体向き・上下”、”身体傾き”、”特殊変形1”が対象になります。
[Note] E-moteでは頭部と身体はそれぞれ別々のパラメータで向きを変えるので、それぞれ別々に向きを変える事ができます。(例:身体は正面、頭部は右方向を向く、等)
【身体向き・左右の調整】
先ずは身体の芯となる”胴体”の調整から始めます。
”胴体”の”身体向き・左右”を選びます。キーフレーム”左”を押すとテンプレート由来の初期状態が表示されますので、頭の調整と同様に、左向きの身体全体を見て、違和感があるパーツのメッシュを修正していきます。

全てのパーツの”左”の調整ができたら、”右”のメッシュに対しても、”左”のメッシュのコピペ&左右反転を行います。
[Tips] 胴体の左右向きに限りませんが、向きの調整を行う際は、鏡の前に立って自分自身で身体の動きをトレースすると理解が早まります。
[Tips] 胴体を左右に向ける際は、腰からスタートして、徐々に上にいくに従って動きが大きくなるようなひねりを意識すると良いでしょう。
【身体向き・上下の調整】
身体向き・上下の”上”と”下”は、左右反転のような手段がありませんので、それぞれ調整を行います。
調整時のコツとしては、上向きの調整を行う際は、胸を反らすようなポーズを、下向きの調整を行う際は、肩を落として少し前のめりのポーズにするよう意識すると良いでしょう。
【身体傾きの調整】
腰を中心に身体を左右に傾けた際の動きを調整します。
身体傾きは、腰中心を軸にした角度(数値入力)と、各パーツのメッシュ調整の2つの要素があります。
[Note]調整は、胴体>スカート>両腕の順に行うと良いでしょう。
傾き角度(数値)について
テンプレの初期状態では、”身体傾き”の”右”も”左”もメッシュ調整はされずに角度設定だけされています。
左右で試してみて、角度に大きな違和感が無ければ、数値設定はそのままにしておいて下さい。
身体傾きのメッシュ調整について
作業に入る前に、まずは実際に鏡や窓に自分の姿を写して身体を左右に傾けてみましょう。
すると、腰の辺りに関しては、角度はあまり変わりませんが、バランスを取る為に左右に動きます。
逆に鎖骨の辺りは一番角度変化が大きいです。
そして胴体も真っ直ぐ傾かずに、腰から徐々に背骨を緩やかに曲げて変形しています。

身体傾きのメッシュ変形の調整は、このイメージで行うと綺麗な動きにできます。
【下半身の調整】
下半身の調整は、基本的には他のパーツと考え方は変わりませんが、以下の点に注意が必要です。
両足は地面についているので、上下に浮いたりしないようにする
胴体との接続を意識して、めり込んだり分離したりしないようにする
【胴体差分Aの調整】
胴体差分A(垂れ下がっている帯)についてですが、出来れば紐モデルで揺らしたい形をしています。
そこで、胴体差分Aの子パーツとして追加パーツを新たに設定します。
まずはPhotoshopを立ち上げて、以下の手順で紐モデルの追加パーツを追加して下さい。
- PSDを開いて、レイヤーグループ”胴体差分A”を選択する。
- ”胴体差分A”の中にある”//追加_帯”レイヤをレイヤーグループから取り出す。
- ”//追加_帯”のレイヤ名を”追加_帯”に変更する
- PSDをセーブする。
次に、E-moteエディタに戻って、以下の手順を行います。
- PSDインポートを行う
- PSDインポート画面の右上にある「新規追加パーツプール」に”追加_帯”があるので、D&Dでパーツ一覧の”胴体差分A”>接着 に貼り付ける
- ”追加_帯”の横の▶マークを押して出るリストから”紐モデル”を選択する
- 画面右下の「インポート」ボタンを押してPSDインポートを完了する
以上で、新たに”追加_帯”というパーツが胴体差分Aの子パーツとして登録できました。
”追加_帯”の”紐モデル”の項目から、ボーンやパラメータを調整して下さい。
以上で、身体と下半身についての基本的な調整が終わりました。
■その他の調整について
【頭部全体枠・胴体全体枠について】
身体を上下左右・傾きなどで動かした際、頭部が首から外れるような動きになる場合があります。
その際は”頭部全体枠”を参照し、身体の動きに対して頭部全部をまとめて動かして対応して下さい。

同様に、頭部の向きを動かした際にズレを感じたら、今度は胴体全体枠の方で調整します。
【特殊変形1について】
テンプレートの”特殊変形1”は、前のめりと仰け反りの動作が予めプリセットされています。
ただし、この動きは頭部や身体のバランスの影響が大きいため、キャラ絵が違ってしまった場合、微調整が必要です。
多くの場合は、頭部全体枠・胴体全体枠・下半身の3つのパーツの””調整で済みますので、それぞれのメッシュの位置やサイズなどを調整して違和感のないようにしてください。

調整前では頭部が上方向に動きすぎて、首が伸びているように見えます。
また、腕の付け根の肩の辺りも動いてズレているので調整します。
