E-mote4.0 モーション作成の手順(導入編)

■はじめに

 E-moteは、キャラクターイラストを簡単に動かす為のツールです。

 本マニュアルでは、E-mote4.0エディタでキャラクターモーションを作成するための前段階として、導入に当たっての具体的な手順や編集の為の概念等を説明します。

 E-mote4.0は従来の3.9に比べて遙かに高機能になり、結果として憶えることが沢山増えました。
 その為、本マニュアルでは「初心者導入編」として先ずは理解して欲しい機能をひとつひとつ例を挙げて解説していきます。


■準備・インストール手順

【必要な環境】

 ・Windows11が動作するPC
 ・最低メモリ16GB・推奨32GB以上

[Tips] E-mote4.0では64bit対応になりましたので、メモリ量はあればあるほど良いです

【必要なソフト】

 ・PSDが扱える画像ソフト(PhotoShop推奨)
 ・E-mote4.0の最新版
 ・最新のDirectX9.0c

【E-mote4.0の導入方法】

最新のE-mote4.0をダウンロードしてインストールする
最新のDirectX9.0cをダウンロードしてインストールする(インストール後にPCを再起動する)

 上記の準備ができましたら、E-mote形式に合わせてパーツ分解してレイヤー名を整えたPSDファイルを用意すれば準備完了です。


■PSDのパーツ分解について

 まずはE-moteで扱うためのPSD画像の準備を行います。
おおよその事は「E-mote4.0キャラクター原画作成の手順」に書いてありますので、作業前に必ず一読して下さい。
 そのうえで、初心者が特に注意するべき事を挙げていきます。

【レイヤーの命名規則について】

 E-moteでは、扱えるパーツ名=レイヤー名(レイヤーグループ名)であり、各パーツの名前は厳密に定義されています。
 PSDのパーツ分解時に間違えないように注意して下さい。
 各パーツ名の詳細は「E-mote4.0キャラクター原画作成の手順」の末尾にある[■付録 E-motePSDインポート 使用可能レイヤー基本名称一覧]にありますので、これらを参照して各レイヤー(レイヤーグループ)の名前を間違えないようにつけてください。

【原点、首中心、腰中心について】

 中心軸と呼ばれる[原点]・[首中心]・[腰中心]は、画像そのものはE-moteで表示されませんがデータ設定の基礎となる重要なレイヤーです。

 基本的に一度設定したら変更しないものですので(後から変更する際のコストがとても高い)、特に原点の位置はディレクターや上司とよく相談して決めてください。
 例えば、複数キャラを並べた際に身長を気にするならば足下に原点を置けば、自然と身長差が出ます。
また、顔のアップを頻繁に行う場合は、頭部の中心を原点にすれば処理が楽になります。
 作成するキャラを「どう使うか」も念頭に置いて設定してください。

【間違ったレイヤー名について】

 前述の通り、E-moteでは、PSD内のレイヤー名は厳密に間違えないようにする必要があります。
特にシステム的に決まったレイヤー名(”原点”など)、”前髪”や”胴体”などテンプレのパーツとして定義されている”基本パーツ”の誤字には注意して下さい。

 また厳密には誤字ではありませんが、レイヤー名の後に半角や全角のスペースがある場合も正しく読み込む事ができないので注意が必要です。

例)”輪郭”は正しく読み込むが、”輪郭 ”だと正しく読み込めない

特に、上記の点があった場合でもE-moteでは「読み込まない」処理をするだけでエラーにはなりません。インポート後に目視で確認してから気付く事が多いので注意しましょう。

【同じレイヤー名が2つ以上ある場合について】

 PSD内で、同じレイヤー名が二つ以上ある場合、PSDインポート時に”重複”という警告はでますが、そのままインポートが行われるので、これも注意が必要です。

 チェック方法としては、PSDインポート画面の[PSD情報]に表示されている”PSD警告”を見る事で(基本パーツに限りますが)重複を確認する事ができます。

上図の場合、PSD内に”涙2”というパーツ(レイヤー)が2つ以上存在する為「重複」という警告がでています。
重複パーツがあった場合は、一度PSDインポートをキャンセルして、PSDを再チェック&レイヤー名を修正した上で、再度PSDインポートを行って下さい。


■E-mote作業の基本的な流れ

 PSDの準備ができたら、いよいよE-moteの作業を開始します。
先ずは起動から終了までの基本的な流れを把握する為に、簡単に説明していきます。

【E-moteのプログラムを起動する】

 弊社発行のインストーラを使ってインストールした後に、プログラムを起動します。
 なお、うまく起動しない場合は以下のいずれかの原因が考えられます

  ・ダウンロードしたインストールファイルが壊れている
   >再度ダウンロードしてください

  ・PCのプロファイル情報が間違っている
   >使用PCのプロファイルを再提出して新規にインストーラーを発行して貰ってください

  ・DirectXがインストールされていない
   >Microsoft公式で配布されている、最新のDirectX9.0cの導入を試してください。

 これらを試しても起動しない場合は、特殊な原因が考えられますので弊社サポートまでご連絡ください。

【テンプレートファイルを開く】

 次に、弊社提供のテンプレートファイルを読み込みます。
 [ファイル]から[テンプレートを開く]を選択して、拡張子”.emttmpl”のファイルを開いて下さい。

【PSDファイルをインポートする】

 無事テンプレートファイルが開けたら、予めE-mote用に分解済のPSDを指定して読み込みます。

  ・[ファイル]から[PSDをインポートする]を選択します。
  ・ダイアログが出ますので、用意したPSDを指定します。
  ・PSDインポート画面が出ますので、画面右下にある”インポート”ボタンを押します。

 今回は、教材用のPSDとして「東北きりたんE-mote40登録用_その1.psd」を用意しましたので、そのまま読み込んで下さい。
 本来、PSDインポート時には様々な設定を行う必要がありますが、今回は何もせずにそのままインポートします。

【E-moteのデータファイルを保存する】

 テンプレートを開いて、最初にPSDインポートを行った時に限り、データセーブ用のダイアログが自動で出ます。
 保存場所・ファイル名等を決めて入力して保存してください。

【E-moteを終了する】

 予めソフトウェアの終わらせ方を知っておくことも大切な事です。
 作業が一段落するか調整が終わったら、ファイルのセーブを行います。そして、以下のどちらかを選んでツールを終了させます。

 ・[ファイル]から[終了する]を選択します
 ・画面右上の×ボタンを押す

以上、ツールの起動から終了まで一通りの流れを解説しました。
これらを基礎知識として踏まえた上で、より詳細な解説を行います。


■メッシュ変形の基本的な仕組みの解説

 E-moteでデータを作成するにあたって、メッシュ変形の概念を理解する必要があります。
以下に大まかに解説します。

【メッシュ変形とは】

 E-moteの核となる技術のひとつにメッシュ変形があります。
メッシュ変形を使うことで、だれでも簡単にパーツ単位の画像を自由自在に変形させる事ができます。

メッシュ変形は、画像の形に関係無く、取り込み枠と呼ばれる範囲を細かくメッシュ状に分割し、それら小さい四角の一つ一つを滑らかに変形させる事で成立させています。


画像を4分割して、それぞれの四角を変形させます。これがメッシュ変形の基本的な考え方です。


分割をどんどん細かくしていくと、最終的に滑らかな変形になります。

【パラメータとメッシュ変形】

 各パーツには複数のパラメータが用意されています。
 パラメータは、初期値となる値と、パラメータの範囲を決める数値が設定されています。

例)パラメータ”頭向き・左右”の初期値は”0”、数値の範囲は”-100”~”100”の間となります。

また、パラメータの決まった値にはキーフレームという編集点が設定されています。
キーフレームの名前に関しては、数字以外にもラベルがつけてある場合があり、編集する場合はラベル名で参照する事になります。

例)パラメータ”頭向き・左右”のキーフレームとラベル名は”0”が”正面”、”-100”が”左”、”100”が”右”と定義されています。

【テンプレートに予め設定されているメッシュ変形について】

 テンプレートの基本パーツには、予め基本的な変形情報が含まれているものがあります。
前髪などの髪パーツ、表情関係(目パチ、眉、クチパク)、輪郭、胴体など、そのパーツがおおよそ取り得る形が予め仕込んであります。



テンプレートの”前髪”の”頭向き・左右”の”左”キーに注目すると、上左図のようなメッシュの形に予め調整されています。
 また他のキャラクター画像を読み込んで(上右図)、前髪パーツのサイズや縦横比が変わってもメッシュ変形の形は自動的に保持されます。

【キーフレームとキーフレームの間の変形について】

 初期値から他のキーフレームに向かって、パラメータの値が増減する事を”遷移する”と言います。
遷移する途中の値、例えば0から100に向かって値が増えていく際、画像は100のメッシュの形に徐々に変形していきます。

※E-moteでは、キーとキーの間のメッシュの形を自動的に補完してくれます

【2つ以上のパラメータの合成について】

 頭部や胴体の基本的な動作として、「左右を向く」「上下を向く」の2種類があります。
E-moteでは、この2つの要素を合成して自動的に斜め方向の動きをさせる事ができます。


この合成機能によって、わざわざ斜め方向のメッシュ変形を定義する必要が無くなります。


■ツールの基本説明

 プログラムを起動して最初に表示されるのがE-moteエディタ画面です。(下図参照)

 エディタは各機能ごとにパネルで分割されていますので、先ずは各パネルについて簡単に解説します。

【エディタ画面の基本説明】


[パーツ編集ツリー](赤枠)
 E-moteデータの構造がツリー表示されています。
 パーツを編集する際は、ここにあるパーツを選んで作業する事になります。

[パーツ詳細](紫枠)
 各パーツが持つ編集可能なパラメータが一覧表示されます。

[エディットパネル](黄緑枠)
 中央のキャラクター画像が表示されているパネルです。
 パーツ毎に動きをつける、色や透明度を変える、重ね順や角度を変える等々、編集の中心になる画面です。

 画面左上にあるボタン(”左”、”正面”、”右”など)は、パーツ詳細で選んだパラメータが持つキーフレームと呼ばれる編集点です。
 パーツ編集する際は、このキーフレーム一つ一つを選んで編集する事になります。

[インスペクタ](青枠)
 インスペクタはE-mote4.0からの新機能です。
各パーツがそれぞれ固有に持つ情報、画像やパラメータ編集に必要な情報、編集項目などを全て集約したパネルです。特に物理モデルの各設定値や属性の調整はこのパネル内で行います。

[メニューバー]

 E-moteエディタの最上部にある各メニューから、様々な機能にアクセスする事ができます。
主にファイル操作全般(PSDインポート含む)、ツールの基本設定などを行います。


■キャラクター作成の基本的な流れ

ここまでの作業で、以下の項目まで進めてきました。

E-moteの開発環境を整える
テンプレートファイル(.emttmpl)を読み込む
.psd形式で作成したキャラクター(きりたん)画像を読み込む

E-mote作成作業はここからが本番となります。

ライブプレビューで動作確認を行う
パーツ編集ツリーから、編集したいパーツを選択する
パーツ詳細から、編集したいパラメータを選択する
エディットパネルでメッシュを変形させて、形を整える

 主に1~4を繰り返し行う事で、E-moteキャラクターの完成度を徐々に上げていく事になります。
 ここでは順次各項の簡単な解説をしていきます。

【1.ライブプレビューで動作確認を行う】

 PSDインポートが終わったら、次にライブプレビューで動作テストを行います。
大まかに動かしてみて不具合のある部分を確認します。


ライブプレビュー画面(別ウィンドウ)

 E-moteは、あらかじめキャラクターに設定されている「パラメータ」の値をリアルタイムに操作し、組み合わせてキャラクターの表情やポーズ、仕草を表現します。

 先ずは画面左側にあるパネルから[モーション]>[メイン]のプルダウンメニューを開いて”sample_全自動_test”を選んでください。


このように、ライブプレビュー内のキャラクターが動き始めます。
E-moteには予めキャラクターを動かす為のモーションが多数用意されています。
もう一度[メイン]横のプルダウンメニューを開いて”sample_全自動_test”以外のモーションも選んで、様々な動きを試してみてください。

さて、ここから大事な話です。
キャラクターの動きをよく見てください。違和感を感じませんか?

・後頭部の動きがおかしい
・頭部が左右に動いた時の髪飾りの形がおかしい
・腕が動いた時に肩から外れたようにズレている
・目が輪郭からはみ出している
・髪の毛揺れ方をもっと揺らしたい/抑えたい
・動いた事で露出したパーツの奥に、塗り残しがある/穴が開いて見える

等々、気になった箇所があると思います。
各パーツは予め基本的な動きをするようになっていますが、どうしてもイラスト毎のパーツの大きさやデザインの影響で、そのまま動かすと違和感が出る箇所があります。

E-moteの編集作業のほとんどは、この違和感を修正していく作業といっても過言ではありません。
エディタで様々な動きを修正し、ライブプレビューで確認していく。
違和感が消えるまでこのループを繰り返す事になります。

【2.パーツ編集ツリーから、編集したいパーツを選択する】

 パーツの中で修正したい箇所を見定めたら、あとは作業していくだけです。

パーツを選ぶ方法として、以下の2種類の方法があります。

1.画面左上のパーツ編集ツリーから参照する

例えば、”前髪”パーツを選ぶには”パーツ編集”>”頭部”>”前髪”とツリーを辿って選択します。
※パーツ名横の”▶”マークをクリックする事でツリーが展開していきます。

2.エディタ中央の画面上で、該当パーツ上でctrlキー+右クリックで出るメニューから選択する方法


マウスが選んだ箇所に重なるパーツが表示されますので、編集したいパーツ名を選んで下さい。
ツリーから選択する方法が基本ですが、慣れて来たら直感的に参照できるctrl+右クリックを覚える方が便利です。

【3.パーツ詳細から、編集したいパラメータを選択する】

 パーツの中で修正したい箇所を見定めたら、パラメータを選んで修正していきます。

パーツ詳細の各行をパラメータと呼びます。
本項では、”頭向き・左右”を選んだ場合の修正例を解説します。

【4.エディットパネルでメッシュを変形させて、形を整える】

 パーツ詳細でパラメータを選ぶと、画面中央のエディットパネルの左上に、いくつかのボタンが並びます。

”頭向き・左右”の場合は、上図のように”左”・”正面”・”右”のボタンが表示されます。
これらを”キーフレーム”と呼びます。

キーフレームはパラメータの中で、状態が変化した物を指します。
例えば、パラメータ”頭向き・左右”のキーフレーム”左”であれば、”キャラクターの頭部が左を向いた状態”を表します。

”左”のボタンを押すことで、パラメータ”頭向き・左右”を持つ全てのパーツの状態が”左”になります。

上図のように、”左”ボタンを押してからメッシュ内部や四角点をD&Dで動かして、前髪を好みの形に仕上げてください。

[補足]
パラメータを選択した時に常に選択状態(青い枠線)にあるボタンをキーフレームの初期値と呼びます。
初期値は「動かない時の状態」を表している為、基本的に編集する必要はありません。
今回の場合、”正面”が初期値ですので、編集するのはそれ以外の”左”と”右”のキーフレームだけです。


■キャラクターの動画出力

【動画出力機能とは】

 E-moteエディタには、モーションを動画として出力する機能があります。
例えば
・作ったキャラクターの動きを動画で確認したいとき
・SNSやプレゼン用に動きを紹介する動画を作りたいとき
といった際に使用できます。

【操作手順】

それでは、動画出力を行う手順を例を挙げて解説していきます。

1.モーションを選ぶ
 まずは出力するモーション(今回は”sample_全自動_test”)を確認します。


・画面左上の”モーション”タブを選択
 ・”モーション編集”>”sample_基本タイムライン”とツリーを開く
 ・”sample_全自動_test”を選択します

2.動画出力設定(ダイアログ)を呼び出す
 動画出力したいモーション名の上で、マウスの右クリックを押します。


上図のようなメニューが出てきますので、”動画を出力する”を選択します。


すると、上図のようなダイアログが出てきますので、出力する動画の設定を行います。

3.画面サイズを決める
 画面右上の”キャプチャ範囲”で先ずは動画の横と縦のサイズを決めてください。
幅が横のサイズ、高さが縦のサイズで、ピクセル数で設定します。

4.画面に対して、キャラクターの位置を決める
 オフセットXとYという項目があります。これはキャラクターの位置を設定する項目です。
数値で入力する方法と、画面右下の”プレビュー”画面をD&Dして変更する2種類の方法があります。

プレビューの画像をD&Dで動かすと、オフセットの値(画面左上)も自動的に変化します。

5.フォーマットを選ぶ
 ダイアログ内の”キャプチャ条件”のフォーマットから、出力したい動画フォーマットを選びます。
今回は”MP4(動画)”を選択してください。

6.出力を開始する

 ダイアログの下にある”OK”ボタンを押して動画出力を開始します。
モーションの長さやPCの性能次第ですが、おおよそ 数秒〜数分で動画が完成します。